私たちは日本唯一のEMCC Global承認コースとして、2025年秋から『MBCC®入門コース』をスタートしました。このコースはEMCC Globalにおける4段階からなる個人認定(EIA)に対応する、いちばん最初の段階です。

ここではMBCC®入門コースというよりは、まず私たちが承認を受けているEMCC Global認定の構造自体を紹介します。その上で、なぜ私たちが日本ではICFに比べて認知度の低いコースの承認にこだわったか、そ基準を大切にしている背景について触れたいと思います。それを通して、これからのコーチングの可能性を探る一助にしていただければ幸いです。

4つのコース、4つの個人認定

EMCC Globalの講座認定では、個人認定と同じ呼称を使っています。Foundationという個人認定を提供するコースのカテゴリーもFoundationということです。同じようにPractitioner、Senior Practitioner、Master Practitionerとつづきます。

ICFはLevel1という講座認定に対応するのがACCという個人認定、同じくLevel2に対応するのがPCC、Level3はMCCというようにコース認定と個人認定の名称が分かれています。

この説明でお気づきのとおり、ICFの個人認定よりもEMCC Globalの個人認定は1つ種類が多く、そのエントリーレベルが私たちの提供するFoundationになります。

たまたま合致したコンセプト

私自身がFoundationというコースカテゴリーに注目したきっかけは、もともとMBCCで開発し提供してきた『共感コミュニケーション』のコンセプトが、どうみてもFoundationに合致すると思ったことでした。

EMCC GlobalではFoundationコースの学習対象者、到達イメージを次のように説明しています。

  • メンタリング/コーチングの実践について理解を持ち、その中核的なスキルを備えている個人。
  • 他者と共に、スキルや成果の向上を支援・促進するためのメンタリング/コーチング的な対話を用いて働く可能性が高い人。
  • 自分自身の分野・役割の中でメンタリング/コーチングのアプローチを用いることを望み、そのメンタリング/コーチング的な関わりが自分の職務上の役割とどう統合されるかを明確に理解している人。

「コーチにならない人」に必要なコーチングとは?

以上の説明を読んでいただけばわかるように、ここに「プロフェッショナルコーチ」という表現は出てきません。そしてコーチングと並列に「メンタリング」という表現が出てきます。

ここでICFの個人認定がLevel1から始まる3段階であることと何が違うのかが、具体的になります。

ICFの個人認定はコーチング学習の修得を示すものであるのに対し、EMCCの場合はコーチングとメンタリングが組み合わさっています。そして最も重要なのは、コーチングとメンタリングを統合的に学ぶということは、プロフェッショナルコーチ志望者ではない実務者(組織のマネージャー、教育者など)が対象になることです。

※コーチングとメンタリングの違いについては次のコラムも参考にしてください。

コーチングとメンタリングは何が違う?

「コーチになりたい人」に、これから必要なこと

明確にコーチとして独立することを目指すなら、Foundationコースではなく次のPractitioner コースから自分に適したコースを探すことができます。

ではなぜ私たちMBCCが、あえて「コーチ以外の人」を対象とするFoundationに合わせたコースを提供しているのか。それについては「コーチングを実践する人のキャリアポートフォリオ」、「コーチングのコンピテンシーの見直し」という2つの観点から説明します。

◆コーチング実践者はコーチングだけをしているのか?

プロコーチを名乗る人のなかでコーチングが仕事の100%であるという人は少数です。ICFがPwCに委託して実施しているグローバルスタディによると、調査対象者の93%は他の専門サービスを兼ねており、その数は2.8種類と報告されています(2023年)。兼務する仕事のトップ3は、コンサルティング(59%)、トレーニング(58%)、ファシリテーション(55%)。

また組織に所属するマネージャーなどコーチングスキルを活用する人(職業コーチではない人)が増加傾向にあります。コーチが兼務する仕事やマネージャーの部下育成、チームマネジメントにおいては、その人が持つ知識や経験の効果的な活用が必要なケースが多いでしょう。これはまさにメンタリングが関わる領域です。

コーチングの学習に興味を持った人が、はじめからキャリアイメージを明確にしていることは稀だと思います。また明確なイメージがあっても変化するのが通常だと思います。これは私が経験してきたことでもあり、多くの友人や受講生をみても言えることです。

コーチングとメンタリングを合わせて学んでいくことは、その先のキャリアを切り拓いていく上で安全性を高めると私は思います。これがMBCC®入門コースをメンタリングを合わせて学ぶFoundationに合致させている理由のひとつです。

◆コーチングはどのようにアップデートされているか?

ふたつめの理由は、「成果を上げているコーチングにおいてコーチは何をしているか」の職務分析にもとづいています。2025年に改訂されたICFのコアコンピテンシーでは、『コーチが(自分の考えに固執せずに)クライアントに知識を共有すること』を項目に明記しました。

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7.11. Shares observations, knowledge, and feelings, without attachment, that have the potential to create new insights for the client.

クライアントが新しい洞察を生み出す可能性を持てるように、観察、知識、感情を、それに固執することなく共有している

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コーチングとメンタリングの新たな出会い

過去のコラムでもふれていますが、この追加はコーチングとメンタリングが密接に繋がり相互作用することで、コーチング自体の質も高まっていくことを示しています。

そして汎用的な質問を通した壁打ち的な会話が、どんどんAIとのやり取りに代替されていることにも目を向ける必要があるでしょう。

これからほんとうに必要とされる“人間による”コーチングには、コーチの感性や経験、そこから生まれてきている思考や感情、そして各人各様のバックグラウンドに蓄えている知識の活用が期待されています。もちろんそれはクライアント中心という原則をふまえ、高い倫理感にもとづく実践となるでしょう。

こうしたプロフェッショナルコーチ志望者の将来展望に立つとき、メンタリングを合わせて学ぶことが、コーチングの基盤学習として価値が高いと私たちは考えています。

そして基盤としてのマインドフルネス

ICFのコアコンピテンシー改訂によって、いちばん追加や変更の幅が大きかったのは“基盤=Foundation”とされる2のカテゴリー、< Embodies a Coaching Mindset“=コーチングマインドセットを体現する > でした。

この変更を我田引水のようにアピールするつもりはありませんが、以下の項目はマインドフルネスやエモーショナルインテリジェンスがコーチングの基盤であることを明確に示しています。

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2.06. Develops and maintains the ability to manage one’s emotions.

自らの 感情を認識し、適切に活用する能力を開発し、維持する

2.07. Maintains emotional, physical, and mental well-being in preparation for, through, and following each session.

各セッションの準備段階、進行中、セッション後を通して、自身の感情的、身体的、精神的な健全さを維持する

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私たちは世界標準のFoundationというカテゴリーに入る要素を実践するために、これまでコーチング教育の基盤としてきたものが、さらに明確に認識されてきたことを確信しています。

EMCC Globalのコース体系とICFコアコンピテンシーのフレームに置かれているFoundationは、AIに置き換えられない価値を体現する学びの中核になっていくと信じています。

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MBCC®入門コース5期(会場開催)10月4日(日)開講

コーチのマインドセットと培うEQグループコーチング