1on1の失敗とコーチングへの誤解 (1)
職場の1on1ミーティングを取り入れる企業が増えている一方で、「うまくいかない」「あの時間が苦痛だ」といった声も聞きます。
その1on1の円滑な運用を支えるはずの「コーチング」は、大手企業においては概ね認知されています。
「研修で受けたことがある」という人が大半という印象すらあります。
企業には1on1を展開していく意思があり、その一環として「コーチング」(主には研修)を取り入れている。
それでも実際は「うまくいかない」ケースが多いとしたら、目指すものと手段との間にズレがあるのではないか。
つまり、「コーチング」を学ぶことは部下の主体性や自律的な思考、行動を引き出すための1on1に役に立たないのではないか。
これから数回に分けて、このテーマを調査と現場での実感、グローバルな視点を交えて明らかにしていきます。
そこでまずいきなりですが、一つ結論をお伝えしておきます。
コーチングについて通り一遍の説明や短時間の研修を行っても、職場の1on1がうまくいくことはありません。
いや私はうまくやっている、成功しているという声も聞くぞ・・・という方もいるでしょうが、それは例外だと思ってください。
幸いにして例外が生まれてくる理由も学術的に説明がつくので、それも後で取り上げます。
パーソル総合研究所の調査(「部下の成長支援を目的とした1on1ミーティングに関する定量調査」2025年2月発表、2024年6月実施、n=3,000名)によると、従業員数3万名以上の企業では66.4%が1on1の実施経験があります(50名~100名未満では42.1%)。
実施率の平均は55.7%となっており、調査対象となった中堅以下の企業も含めて過半数の職場において、1on1が導入されています。
しかし「効果を実感できない」と回答している人が33%となっており、1on1経験者の3人に1人は価値を感じていないのです。
それでも「うまくいくのは例外」とは言い過ぎではないかと思うかもしれませんが、ここには評価の罠があります。
組織が本当に狙っている効果と回答者の主観的な効果は同一視できません。
パーソル総研の調査で興味深いのは、1on1に取り組む上司と部下の認識の相違です。
「自分より部下が多く話している」と回答している上司が42.5%なのに対して、「自分が上司よりも多く話している」と回答している部下は31.4%。
他方で、「自分が部下より多く話している」(36.2%)という上司側の回答と「上司が自分より多く話している」(36.6%)という部下側の回答は、ほぼ一致しています。
この数字だけをみても、よく聴いているつもり・・・で終わっている上司が多い現実が浮かび上がります。
そして結局は上司の独演会になっているという報告も。
では職場の1on1に役立つはずの「コーチング」は、この実態とどう関係しているのか。
次回はそこに切り込んでいきます。
ここからとんでもない研修費用の無駄が露わになってきます。
※この「1on1の失敗とコーチングへの誤解」は短期集中連載でお届けします。
次回もお楽しみに!
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