日本人は働くときに幸せじゃなくてもいいらしい。ただし…

vol.174(2026年7月8日配信)

先日、大学院の「働くWell-beinng特論」という講義を受講した際、
日本人(だけ)は「はたらく不幸せ実感」が高いとワーク・エンゲイジメントやクリエイティビティが「まるで底が抜けたように」低下する
という話を聞きました。

パーソル総合研究所が2022年に行った「グローバル就業実態・成長意識調査 -はたらくWell-beingの国際比較」という調査のデータの中にこの根拠となる情報があります。
全資料をダウンロードしなくても、この話の元データはHP上に図2として掲載されているので、全18か国中、日本だけグラフの形が異なる様子を確認してみてください。

働く上で幸せと不幸せを感じる要因はイコール(1つの軸の片方が幸せ、もう片方が不幸せで、真ん中はどちらでもないで表し、同じ要因のある/なし や量で決まる)ではなく、幸せと不幸せそれぞれを感じる要因は別に存在する、というのがそもそものこの調査の考え方です。

同じ調査内で日本は幸せを感じている就業者も18か国中最下位ですが、不幸せを感じている就業者も15位と低め、つまり、幸せと不幸せ、どちらを感じている就業者も少ない、という結果でした。

はたらく幸せ実感が高いほど、個人パフォーマンスやクリエイティビティ、ワーク・エンゲイジメントが高い、というのは全ての国が同じ傾向を示しています。
しかし、はたらく不幸せ実感が高くなると、日本だけはそれらが底がぬけたように下がってしまうのです。
日本の働く人たちは「不幸ではない」という自己認識が、いろいろなパフォーマンスの下支えになっている(パフォーマンスを下げさせない要因になっている)可能性があり、だから日本では不幸せ実感を感じさせないことが重要なのでは、という内容でした。

この話を聞きながら、どうしてもコーチングのことを考えていたのですが。

「幸せ」を目指す、というのはわかりやすい考え方だと私は思います。
クライアントに対して無意識・無自覚に幸せの方向を目指しているんだ、と思ってしまう、そんな前提を自分の中に感じることもあります。
一方、「不幸を避ける」、「幸せかどうかはともかく不幸ではない」状態を目指す、というのは案外、コーチング内で扱わないかもしれません。

ここには、「幸せの反対は不幸だ」「幸せになれば不幸ではなくなる」「不幸せでないことより、幸福であることがいいことだ」等々の無意識の前提があるような気がします。
でも、今回のデータが示しているのは「不幸ではないこと」「不幸せ実感を感じさせないこと」が大事だ、ということです。

クライアントが何を目指しているのかに敏感になること。
クライアントも本当に欲するものは何かを認識していないかもしれないこと。
それでもクライアントが本当に目指しているものを見出していくこと。

幸せと不幸せだけでもこんなに強い、そして信じて疑わない前提が自分の中にあるのか、と気づいた次第です。



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