Mindfulness Based Coach Camp 典生人語

気候危機とクライメートコーチング

吉田典生 投稿者:吉田典生 カテゴリー:典生人語

私たちMBCCが加盟している日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)は、7月2日に日本の脱炭素、それに向けたエネルギー基本計画に関する提言を発表しました。詳細はこちらにあります。

コーチングと気候問題と何が関係あるの?と聞かれます。

逆に問いたいのは、気候問題と関係のない仕事ってあるのですか?

ということです。

産業革命以降の急激な温度上昇は人間社会における私たちの活動がもたらしたものです。

これは科学的に十分な合意を得た結論です。

そして温度上昇が世界各地で頻発する異常気象の主要因であることも明らかになっています。

これは一つの見解ではなく結論であるということを、まず理解しておく必要があります。

しかし日本では、おそらくいくつかの複合的な要因によって、科学的なコミュニケーションや報道が極めて限られています。

今ここにある問題は、今までの意識によっては解決することができない。

これはアインシュタインの有名な言葉で、人と集団の発達こそが人類と地球の危機を救うための鍵であることを示唆しています。

しかし人間の関心は目の前の問題に向いていきます。たとえば今期の業績、私の成績、収入、景気や為替がどうなるか、昇進できるか・・・。

エモーショナルインテリジェンス(EQ)を世界のビジネスパーソンに広めたビジネス作家のダニエル・ゴールマンは、ダイエットがしたいけどお腹が空いている甘いもの好きな人をイメージさせて次のように言います。

「美味しそうなパイアラモードがある。今日はこれを食べて、明日からダイエットしよう」

2000年代に大成功したハイブリッドカーの技術をもとに、「まずは売りやすいハイブリッドを売るだけ売って、インフラが整い技術が進むのをみながらEVに移行しよう」と考えている自動車メーカーには、目の前のパイアラモードを選ぶ人と似た心理的メカニズムが働いているのかもしれません。

人間の注意は近くに向くようにできているけれど、それを乗り越えなければならないときもあります。勉強でもスポーツでも仕事でも、私たちはそういうことも経験してきているでしょう。一方、目の前のパイアラモードに手を伸ばして後悔した経験もあるでしょう。

個人を相手にする場合でも集団を相手にする場合でも、コーチは未来を共に探求し、未来から今を見据え、望ましい行動と望ましくないのに選んでしまう行動を共に観察し、ときに表面に現れる行動の根底にある信念体系や目を背けている感情に光を当てます。

コーチングでやっていることは、気候危機に対処する人間の可能性を解き放ち、行動を促進し、人々の連携を強化し、好ましい循環を創り出すことに直結します。

だからMBCCは気候危機を乗り越えていくための責任の一部を担っています。

多くの企業、そして個人とともに、パリ協定を取りまとめたクリスティアナ・フィゲレス氏の強調する「不屈の楽観主義」を携えて、100年後の世界を描きながら進んでいきます。