何のために何ができるようになりたいのか

Vol.160(2026年1月15日配信)

私は

  • コミュニケーションの仕方は自分で選択することができる。
  • 学習と訓練(Learning & Training)で必ず上達する
  • コミュニケーションを変えることで関係性を変えることができる。

と信じてコーチやMBCCのトレーナーをしていますが、そう信じるきっかけとなったKさんという上司がいます。

Kさんが上司として異動してくると知ったときには、とても困惑しました。

几帳面で仕事ができる。しかし「今日は私は機嫌が悪いんです!」と言い放つ、話は聞いてもらえない、何なら激高することもある。合理的な判断は得意だけど話と気持ちの通じないコミュニケーションに?がつく天才、という評判の人だったからです。

着任したKさんは、まさにそういう上司でした。
処理能力は最高。でもとにかく話しかけにくい。話しかけても決してこちらは見ない。話を遮られることも多いが、そもそも話しかけても今は話しかけないでくださいと言われることも多い。ファクトで済む話ならよいですが、心情が絡む話は本当に通じない。何ならKさんの機嫌を損ねないようにこちらが気を遣う。そんな上司でした。

でも、このKさんがあるときから豹変したのです。
朝から挨拶をしてくれる。こちらから挨拶すると挨拶が返ってくる。
PCに向かっているKさんに「今よろしいですか?」と話しかけると手を止め、顔をこちらに向け「どうしましたかー?」と聴く姿勢を示す。
以前ならこちらが話してだしても途中で「つまり~ですよね。それは~ですよね」と遮って解決策を示していたKさんが、こちらが話し終えるまで待ってくれる(聴いてくれる)。
そして「~の件ですね。あなたは~と考えているんですね」とKさんが理解した内容を確認してくれる。何なら「私は~と思います。~と感じています」と自身の考えや感情を伝えてくれる。

すみません。正直に言うと、最初は宗教か何かにはまったのかと思いました。そのくらいKさんは豹変しました。
でも、それがどうやら管理職対象のコーチング研修がきっかけらしい、ということを知りました(もちろん、一泊二日の研修で全てが変わったのではなく、本当にきっかけだったそうなのですが)。

その後ずっと、Kさんは話を聴いてくれて私を理解してくれて、部下のサポートをしてくれる上司でした。
人の評判なんてこんなものかと思ったのは、半年後にはだれも以前のKさんのコミュニケーションスタイルを覚えていないかのように、Kさんは「相手の能力を引き出すのがうまい人」として認識されていました。

今、これを書いてみて思います。
Kさんは何を学び何を変え何を続けたのだろうか、と。
果たしてKさんは私に「コーチング」をしていたのだろうか?と。

当時の企業向けコーチング研修でありがちな「こういう距離でこういう相槌を打ってこういう問いかけをしましょう」「こういう質問をこの順番でしてみましょう」「コーチングで部下の考えを引き出してあげましょう」「まずゴールを設定しましょう」的なことをされていたら、私はKさんに心を開いただろうか、Kさんが話を聴いてくれた・自分に向き合ってくれたと思えただろうか、と。

MBCCに共感コミュニケーションのプログラムが生まれ、現在の入門コースに統合される流れについて、私自身は「誰とどんな関係になるために何ができるようになりたいのか」が明確化される流れだと感じています。

MBCCの入門コースが「共感コミュニケーション」という名の「関係性の土台を育てる安全な他者との関わり方」を習得することを目的としているのは、
・日常で必須なのは関係性の土台を育てられる安全な他者との関わり方
・関係性の土台がないとそもそもコーチングは機能しない
という事実があるからです。

MBCCの修了生、しかもLevel1やLevel2に合格した受講生が今回の入門コースを受講(再受講価格で受講可能)しているのは、コーチングスキルを習得しているからこそ、関係性の土台の重要さに気づいているのだと感じます。

共感コミュニケーションはコーチングの簡易版ではない。
Kさんからいただた年賀状を見ながら当時のことを思い出し、あらためてそんなことに気づきました。

あなたは相手とどういう関係を築きたくて、そのために何ができるようになりたいですか?


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