新年に寄せて「2重思考の世界を生きる」
MBCCファウンダーの吉田典生です。
21世紀も4分の1が過ぎ、今世紀セカンドクォーターの幕が開きました。
皆さまが健やかに新年を迎えていらっしゃることを願っています。
私はといえば・・・
2026年、子供の頃に想像していた今という「遠い未来」にいる自分から、幼き日の自分に送る言葉。
そんなテーマでジャーナリングするところから新年をスタートしました。
ところで未来といえば、ジョージ・オーウェルの『1984』というディストピアSF小説をご存じの方は多いでしょう。ここに登場する全体主義国家が、その体制を維持するために編み出した核心的な概念として2重思考というものがあります。
実はこれ、現実社会において身近なものです。
たとえば、組織のリーダーが「多様性に溢れた人々が活躍できるチームをつくりたい」と話します。
一方で、リーダーは自分と価値観を共有できるお気に入りの人々を要職に配置しています。
彼の中で2つの事柄に矛盾はありません。
彼は多様性の大切さを信じており、自分の価値観に共感する人たちが組織に大きな貢献をしてくれることを信じています。
このように相反する考え方を何の疑問も持たず共有しているのが2重思考です。
リーダーが実現したい「多様性に溢れた組織」は、特定の人々の管理のもとで統制的に推進されていきます。
『1984』に登場する真理省という統制国家の行政機関は、体制維持のためにデータの改ざんを続けます。それを権力者たちは「民主的な統制国家」を安定的に維持するための大切な仕事だと確信しています。
また同時に彼らは、改ざんされた情報を「真実」だと固く信じて、それを国民に伝えていきます。
最近、ドナルド・トランプ合衆国大統領を語る際に、ときどきこの2重思考が引用されます。
自分は戦争が嫌いでピースメーカーであると強調し、自国の負担になる他国への軍事介入に否定的です。
一方で国防省を戦争省と改名し、自国の安全を脅かすという名目のもとで他国への軍事攻撃を仕掛けています。
私たちの身近なところ、そして世界のあちこちに2重思考の影響を見つけることができます。私にも、あなたにも、潜んでいるかもしれません。
複雑な世界において、職場において、あるいは日常生活で。簡単に正解を出せない問題に直面することは多々あるでしょう。このときに感じる不快感を、心理学者のレオン・フェスティンガーは認知的不協和(Cognitive Dissonance)と名づけました。
私たちは気持ち悪い不協和を解消したいので、矛盾する2つの考えを分けて脳に保存します(Compartmentalization=区分化)。そして状況に応じて、どちらも都合よく取り出すことができます。
このようにして真実は覆い隠され、欺瞞が拡がり、それをテクノロジーが駆動する世界こそが、ジョージ・オーウェルの描いた『1984』から見える未来の一つです。
そんな危うさが漂う2026年だからこそ、静かに、心身の深いところから立ち止まりたいと思います。自動加工されていく前の声を聴き、感覚を受容し、複雑なシステムに包まれた居心地の悪さをマインドフルに観察したいと思います。
そこから現れてくる気づきを携えて、マインドフルコーチングの探求と実践を共に進めていきましょう。

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