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離職が減り、人が成長する5つの質問

今村佳未 投稿者:今村佳未 カテゴリー:コラムコーチング

離職が減り、人が成長する5つの質問

マネジャーの皆さん、日頃から部下の方とどんなテーマで会話をされていますか?

下記、いくつくらい思い当たることがあるでしょう。

ー部下との1on1がマンネリ化している・・・

ー突然部下が退職届を出してきた・・・

ーどんなテーマが部下のモチベーションになるのか分からない・・・

ー部下とは日々の業務以外の会話をあまりしていない・・・

ーそもそも1on1をしていないか、頻度が少ない。又はリスケが多い・・・

ー中小企業だから業務以外のことには余裕がない・・・

ーリモートワークでコミュニケーションが取りづらい・・・

 一つでも当てはまることがあれば要注意です。

突然部下が辞職を申し出てくるとか、密かに人材紹介会社に登録して次のキャリアを探し始めている可能性があります。

 欧米ではGreat Registration”=大退職時代に入ったと言われています。コロナ禍で働き方が大きく変わり、キャリアを見直そうとする人が増えているのです。

日本では経済回復の遅れもあって転職者は増えていませんが、転職“希望者”は増えています。

(参照:「コロナ禍において転職希望を強めている正社員」独立行政法人 労働政策研究・研修機構)

人口減と少子高齢化により労働人口が減るなか、縁あって入社した仲間が活き活き働くことができ、成長を実感できる職場づくりは、経営の根幹を左右する課題となっています。

さいきん上司と部下による1on1(一人一人と個別に定期的な会話をする)が注目されているのも、そんな背景があります。1on1を十分に機能させている企業の多くが、GPTWのような働きがい調査で上位にランクされています。 

では、どんな1on1をすればよいか。

部下が退職を決める前に、マネジャーが問うべき5つの質問」(※以下「5つの質問」 Harvard Business Review20222月掲載)では、どんなことをテーマに1on1や日頃の部下との会話をしておくべきなのかを、具体的な部下への「質問」も含めて知ることができます。

ここでは、そのポイントを私の経験も交えながらご紹介していきます。

上司も部下もハッピーでWin-Winな会話

上司も部下もハッピーでWin-Winな会話

もちろん、一夜で部下や組織は変わることはないでしょう。しかし前述したGPTWにランクインしているような企業であっても、かつては同じような悩みを抱えていた例が多くあります。

違いは経営者やマネジャーが本気になり、健全で魅力的な企業文化を目指し、社内制度・組織改革・人材開発などに努力と投資を継続したか否か。それを推進するための鍵になるのが、経営層と現場の間に立つ管理職、マネジャーなのです。

たいへんそうに聞こえるかもしれませんが、どんな職場でも本気になれば実践できる大事なことがあります。それがこれからご紹介するWin-Winな関係を作り出す会話です。

 部下にとってはモチベーションや成長機会が高まり、上司にとっては部下の成長やエンゲージメントが上がり、想定外の退職が減少する。結果的に、中長期的な視野での組織作りが出来るようになる、そんな会話のヒントを見ていきましょう。

 効果的な「問いかけ」の5つのポイントと質問例

効果的な「問いかけ」の5つのポイントと質問例

ではこれから紹介する5つのポイントと、それに沿って日頃から使える具体的な「質問」を準備していきましょう。同時にリーダー自身が、これらの「質問」に答えてみて下さい。そのことで、「質問」の重要性と理解が深まり、ご自身のマインドセットにも刺激を得ることができるでしょう。

1)この組織でどのように成長したいか

 「キャリア開発は、ギャラップの調査で示された要素の中でも最も重要であり、階層に関係なく3分の2の人が、キャリア開発の機会がないことを理由に退職している。」(「5つの質問」より抜粋)

リーダーは、多くの社員が望んでいる「成長意欲」と「組織の成長」を結びつけて考える必要があります。部下がどんな成長を望んでいるのかを把握するのと同時に、組織内の業務内容を可視化しておきます。それにより、誰がどんな分野で成長したいのか、という「成長意欲」と「仕事の割り当て」を戦略的に行うことが出来るようになります。

また、並行して社内でのキャリアパスなどもあると人材開発はさらに活発になるでしょう。出来る限りリーダーが一人で抱え込まず、人事部門や他部署のリーダーとの連携などを行い、少し大きな視野で社員の成長機会を作ることで選択肢も広がり、継続的に成長機会をつくることが出来るようになります。

 部下への質問例:

➀「あなたのキャリアのゴールは何ですか?」

②「あなたのキャリアの目標の為に、この1年で出来ることはどんなことがありますか?」

③「あなたの成長やキャリアアップの為に、私がサポートできることはありますか?」

2)仕事に目的意識を持てているか

仕事に「目的意識を持つ」とは、具体的にはどんなことでしょうか?

分かりやすく「営業担当者」の例で考えてみます・・・

目的意識を持っていない営業担当者は、会社から設定された売上目標を目指し仕事をしていますが、製品(又はサービス)をお客様に提案して売ることだけを考えています。

一方で「製品(又はサービス)を広めて人の役に立ちたい」「売上目標を大きく達成してトップセールスマンとして活躍したい」というような目的意識を持っている営業担当者の場合、どうすればもっと売上を伸ばせるのか、どんな説明をするとお客様に分かりやすいのか、などを自発的に考えるようになり行動が主体的になります。まさにモチベーションへと直結していきます。

ただし、入社当初は目的意識があっても、日々の業務に追われていたり時間が経過することで、当初はあった「目的意識」が薄れてしまうことも多々あります。その為にもリーダーは、部下が仕事への目的意識を持てているかを気にかけ、部下が目的意識を思い出し、新たに見出せるような会話が必要になります。

部下への質問例:

➀「仕事をする時に大切にしたいことは何ですか?」

②「仕事を通じて、何を実現したいと思っていますか?」

③「仕事で成功するとは、あなたにとってどんな意味がありますか?」

3)あなたが最高の仕事をするために、私に何をしてほしいか

「有能なマネジャーは従業員を尊重し、彼らに気を配っている。従業員を個人として理解し、彼らの成果を認め、パフォーマンスについて話し合い、正式な評価を行っているのだ。このような支援行動が、従業員が安心して新しいアイデアを試し、情報を共有して、開発の機会を模索し、互いにサポートし合える職場環境をつくる。」(「5つの質問」より抜粋)

簡単そうに見えて意外にできていない。もしくは、気持ちはあっても言葉で伝えられていないこともあるかもしれませんね。実際に部下が何かしてほしいことが無くても、いつでもサポートしてもらえることが分かるだけで、部下は安心して仕事に集中しチャレンジもしていけるでしょう。

部下への質問例:

➀「あなたが目標達成をする為に、私ができるサポートはありますか?」

②「どんな小さなことでも何か話しておきたいことや、私が手助けできそうなことはありますか?」

③「今抱えている問題はありますか?あれば、それを解決するために私には何ができますか?」

 4)会社がいま取り組んでいないことで、やるべきだと思うことは何か

「最高のマネジャーは、オープンな対話を促進し、従業員の意見や提案に対して率直なフィードバックを行い、優れたアイデアを支持し、実現不可能なアイデアに対処することで、従業員の意見が重要であることを彼らに伝える。

 個々のチームメンバーに、会社が改善できる活動は何か、会社が見落としている可能性がある市場機会は何か、会社のリソースをより効果的に活用するにはどうしたらよいかを尋ねることで、彼らの考えが重要であると示すことができる。」(「5つの質問」より抜粋)

最近では「リバースメンター制度」のような、若手からベテラン社員への逆方向(リバース)の支援活動も出てきています。これは若手が得意とする分野や新しいアイデアをベテラン層が取得するだけではなく、世代間の溝を埋め、お互いの価値観を理解し合う場となります。若手社員にとっては、「自分の意見に聞く耳をもってくれている職場」というだけでも、存在価値を感じ「満足度」を高めることになります。

部下への質問例:

➀「現在の働き方改革(例:在宅勤務やハイブリットワークなど)を更に進めるには?」

②「社内コミュニケーションツールをさらに使いやすくするには?」

③「経営陣には見えていない、会社の成長に必要なことは何だと思いますか?」

 5)自分の強みを活かす機会が毎日あるか

得意なことや強みを活かすことができれば、仕事で活躍しやすくなり満足度も上がります。ただし、部下自身が得意だと思っていることと、周りから見て良くできていると思う部分は、案外一致しないこともあります。上司は、普段から部下のことをよく見て、「得意なこと」や「楽しそうに仕事をしている場面」を見逃さないように気を付けてみましょう。そして、部下の強みにフォーカスする会話により、部下は自分が必要とされていると感じ、モチベーションや成長意欲にも繋がるでしょう。

 部下への質問例:

➀「今の仕事では発揮できていない能力やスキルは何だと思いますか?」

②「没頭できるような楽しいと思える仕事は何ですか?」

③「これまでに言われた賛辞で一番うれしかったことは何ですか?」

私の最大の支援者だった上司との会話

私の最大の支援者だった上司との会話

10年以上にわたり私自身のメンターであり、上司として支援・指導して下さった、グローバル企業で現在も活躍されている女性リーダーの日々の「質問」や「声掛け」の一例をご紹介いたします。

「チャレンジしてみたい仕事はある?」

「何かサポートして欲しいことはある?」

「今期はどんなことを目標にする?」

「何か困っていることはない?」

「新しいこの取り組みで懸念する点はありそう?」

「一緒に考えてみましょうか」

「いつもありがとう」

 上記のような上司からの言葉が無かったことを想像すると、上司との日々の会話がいかに部下のモチベーションを左右し、働きやすさや成長を変えるのか改めて実感できます。

長い会話である必要はありません。日々の5分、10分の会話の中で、部下が「成長マインド」を思い出し、「存在価値」を感じることのできる「質問」や「声掛け」が、その後の気持ちや行動の分岐点になります。

そして上司にとっても、部下からの「信頼」「貢献」「成長」といった、離職防止以外の恩恵も戻ってくる大きな分岐点となるでしょう。

MBCCリサーチ担当 今村佳未