MBCC®️受講生向けに配信されているメールマガジンMBCC®️通信から冒頭コラムを抜粋してご紹介しています。(受講生限定・メンバー限定情報などはメルマガのみの配信としています。)
登録はどなたで可能です。ぜひ登録して最新情報にアクセスしてください。


日本におけるコーチングの未来~品質向上に向けたメタ理論の重要性~

コーチングの理論的背景は何ですか。

2001年くらいだったと思います。来日した米国のコーチに、私と一緒にセミナーに参加していた友人のコーチが質問しました。
当時まだ日本では認知度の低かったコーチングについて、どのように学術的なアプローチがされているのかを知りたかったのです。

「コーチングは実践であって、それほど研究はされていない」

ちょっと驚くような回答が返ってきました。
そのときの言葉は正確に憶えていませんが、「えっ?そういうこと言う?」という戸惑いを覚えた感覚は残っています。
その米国人コーチが伝えた要旨は、間違いなくそういうメッセージだったのです。

いま考えれば、単にそのコーチがアカデミックなバックグラウンドをもっていなかっただけだったのかもしれません。しかし日本におけるコーチングがアメリカからの影響を強く受け、やり方=メソッドを中心に伝えられてきたことも確かです。

しかし前述した米国人コーチが話したことは正確でなく、学術的な裏づけを軽視したままコーチングが発展してきたわけではありません。
欧州では90年代から、メソッドの前提を批判的に検証し、コーチングの原理をとらえるようなメタ理論の構築に取り組んできました。そこには実存主義や現象学などさまざまな哲学、システム理論、成人発達理論などが入り込んでおり、こうした動きは米国にも広がり、相互に影響を及ぼしながら現在に至っています。

MBCCにおいてマインドフルコーチングが特定のメソッドではなく、最適の方法は状況と目的によって変わるという「方法の原理」をコーチング教育の前提にしているのも、こうしたメタ理論に立脚した学習を大切にしているからです。

私が危惧するのは、コーチングが米国的な市場原理主義のシステムに組み込まれることにより、今後もメソドロジーだけが商品化されて拡大再生産されていくことです。
SNS時代に沿った押し出しの強いプロモーションと相性が良いのは、わかりやすいメソッドです。
論文検索サイトを開いて、目が痛くなるような膨大な頁数のPDFファイルを熟読しなさいと言ってくるSNS広告はないでしょう。

これから日本でコーチングを発展させていくためには、コーチングがなぜ機能するのか、どのような時に機能しないのかを概念的に整理し、説明するための知見を深めていくことが不可欠だと考えます。
コーチングをunlearnし、次の時代につないでいくためにも。

(MBCCファウンダー 吉田典生)