【コーチングの理解を深める本】~コーチングスキルの学びからその先へ~
コーチングの本質を学ぶMBCC推薦図書
いきなりですが、MBCCでは受講生のみなさんに、あまり“そのものズバリ”な「コーチングの本」をご紹介していません。コーチングを本質から腹落ちさせ実践に結実させるには、広範囲な知の集積が必要だと思うからです。
古(いにしえ)をたどれば、古代ギリシャのソクラテス式問答や禅の公案(禅問答)にも、現在のコーチングにつながるエッセンスをとらえることができます。こちらにもコーチングの分かりやすい解説本はありますが、それと合わせて、ぜひちょっと難しそうな本にもチャレンジしてみてください。
元祖コーチングのバイブルにしてマインドフルネス×コーチングの決め手
『新インナーゲーム』
著者:W.ティモシー・ガルウェイ(日本スポーツ出版社)
推薦コーチのコメント
スポーツ心理学の分野を切り開き、その知見をもとにビジネスシーンにおけるコーチングを打ち立てたパイオニア、W.ティモシー・ガルウェイが説くシンプルで深いコーチングの本質と実践法。この本が出た後に次々に出版された多くの“コーチング本”は、スキルを分解して部分的に解説しています。それに対して同書は、「人はどのようにして学び、成長するか」を包括的に扱っています。この本を通して、コーチとして「学び方の本質」に関心を抱き理解を深めることで、他のコーチング本の理解も促進されると思います。
推薦コーチ:吉田典生(MBCCファウンダー、シニアコーチ、シニアトレーナー、MCC)
難易度:★★☆☆☆
どんな人におすすめ?
コーチングを学ぼうとしている全ての人に、コーチングを学び続けている全ての人に
これ1冊でコーチングの基本を語れるようになる
『はじめのコーチング』
著者:ジョン・ウイットモア(ソフトバンクパブリッシング)
推薦コーチのコメント
著者は上記『新インナーゲーム』のW.ティモシー・ガルウェイに師事した人で、広義のビジネスコーチングを体系化させたもう一人のパイオニア。コーチングが十分に機能するための根本の考え方をガルウェイから受け継ぎながら、企業組織や個人の潜在力を引き出すためのノウハウに踏み込んでいます。近年非常に注目されるようになっているチームコーチングに関しても、20年前に既に言及されています。私を含め日本のコーチング黎明期に学んだプロコーチの多くが、ガルウェイとウイットモアの影響を受けていると思います。
推薦コーチ:吉田典生(MBCCファウンダー、シニアコーチ、シニアトレーナー、MCC)
難易度:★★☆☆☆
どんな人におすすめ?
コーチングの本質と全体像、ハウツーの基本を学びたい人に
コーチングを始める前に、コーチングマインドを整える一冊
『「手で書くこと」が知性を引き出す 心を整え、思考を解き放つ新習慣「ジャーナリング」入門』
著者:吉田典生(文響社)
推薦コーチのコメント
「書く瞑想」と言われるジャーナリングについて、「どんなやり方があるの?」「書く時間はどのくらいが一番いいの?」「本当に効果があるの?」などの疑問をお持ちの方や、ご自身が行っている方法について、「これで合ってるのかな?」とご不安な方もいらっしゃると思います。
この本では、効果や効果の根拠、やり方、事例についてだけでなく、24の実践ワーク(テーマ)についても紹介されています。
最初から順番に読むだけでなく、ジャーナリングをやってみたい!という方は、まずは45–49ページでやり方を確認し、63ページからのワークをとにかくやってみることをお勧めします。
やってみて、何がよいのか、どうして良いのか、どんなバリエーションがあるのか、自分に何が起きているのかなどを知りたくなったら、最初から読んでみてください。
マインドフルトレーニングであると同時に、コーチングにも取り入れやすいジャーナリングの入門書です。
推薦コーチ:関口詩乃(MBCCシニアコーチ、トレーナー、PCC)
難易度:★★☆☆☆
どんな人におすすめ?
- ジャーナリングに興味がある人
- ジャーナリングの効果について知りたい人
- ジャーナリングのテーマを増やしたい人
- ジャーナリングを日常生活やコーチングで活用したい人
- ジャーナリングのやり方について「この方法でやれば大丈夫」という安心感を得た人
コーチの自己基盤を整える 自分に気づく一冊
『自分の小さな「箱」から脱出する方法』
著者:アービンジャー・インスティテュート(大和書房)
推薦者のコメント
自分の振る舞いが相手にどういう形で見えているか、相手との関係作りにどんな影響を与えているかを教えてくれる本です。
「私はちゃんとやっているのに何であの人はわかってくれないの?」「あの人が無能だから進まないんだ」など、普段、何気なく抱いているモヤモヤした気持ちの裏側に潜んでいる「モノ」の正体がわかります。
コーチとしてのあり方や、クライアントの理解を深めるうえで、とても役に立つ内容だと思います。
推薦者:吉田奈緒子(MBCC広報チーム)
難易度:★★☆☆☆
どんな人におすすめ?
一皮向けたい、ステップアップしたい、もっと自由に自分らしく生きていきたい、という方におすすめです。
コーチの自己管理力を付ける 早急な答えを手放すための一冊
『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力』
著者:帚木蓬生(朝日新聞出版)
推薦コーチのコメント
私はこの本を読んでネガティブケイパビリティを、あらゆる事を「あるがままに受け取り、その状態と寛容に付き合っていく豊かさ」と感じた。
不確実なものに耐え難く、答えを見つけたい、分かりたいという欲望をもつ人間の脳。
著者は、「〈問題〉を性急に措定せず、生半可な意味づけや知識でもって、未解決の問題にせっかちに帳尻を合わせず、宙ぶらりんの状態を持ちこたえる」能力を多角的に言及している。
推薦コーチ:松川 美保(MBCCディレクター、シニアコーチ、トレーナー、PCC)
難易度:★★★☆☆
どんな人におすすめ?
- 解決できずに悶々としている
- 何とかしてあげたいのにどうすることもできない
- 相手との距離感や関係性を考えている
- これでよいのだろうか、と迷っている
MBCCで扱う、マインドフルネス、無知の知、ポジティビティ、注意の分類、共感、エモーショナルインテリジェンスなどとあわせて読みたい。
人との関わり方に気づく 1on1を実践するときに読みたい一冊
『ヤフーの1on1』
著者:本間浩輔
推薦コーチのコメント
コーチングの専門書ではありませんが、コーチングで学ぶべきエッセンスがふんだんに取り込まれています。
ついついやってしまいがちな人への関わり方が赤裸々に記されており自分でも思い当ることがちらほら。
企業での実体験をもとに職場環境の上司と部下の関係をリアルに表現されているので、自分自身の状況と置き換えながら学習と実践ができます。
推薦コーチ:麻生健(MBCCシニアコーチ、トレーナー、PCC、CPCC)
難易度:★★☆☆☆
どんな人におすすめ?
職場で1on1を管理職として自薦されている方、これから実践する方。
コーチからマインドフルコーチへ マインドフルネス入門の一冊
『〈目覚め〉への3つのステップ: マインドフルネスを生活に生かす実践』
著者:ラリー・ローゼンバーグ( 春秋社)
推薦コーチのコメント
主な瞑想法を紹介していますが、座って行う瞑想から日常生活における気づきまで、一貫して“気づき”というものの価値が説かれています。
コーチングにおけるクライアントへの気づき、コーチ自身の気付き、クライアント・コーチを取り巻く空間の気づきといった基盤につながる良書です。
マインドフルコーチングの教本とも言える一冊です。
推薦コーチ:山田浩史(MBCCシニアコーチ、トレーナー、PCC)
難易度:★★★★☆
どんな人におすすめ?
瞑想の意味を考えたい人、M B C Cと他のコーチングの違いを理解したい人、エッセンシャルズ、チェンジメーカーを終了して自らのコーチングに悩める方。
マインドフルコーチとして 読んでおきたい一冊
『ケアの本質~生きることの意味~』
著者:ミルトン・メイヤロフ(ゆみる出版)
推薦コーチのコメント
コーチングの本ではありません。コーチングの本質について有り余るほどの示唆を得ることのできる本です。コーチがコーチングを生きることによって、どのように成長していくか。その視座なしにコーチングのスキルは使えても、ほんとうのコーチングは現れてこない。コーチ自身が成長しつづけるための古典、といってもよいと思います。「ケアとは、ケアする人、ケアされる人に生じる変化とともに成長発展をとげる関係性を指しているのである」(本書185頁)――ここにある「ケア」を「コーチング」と置き換えると、私たちがMBCCで探求しつづけたいコーチングの本質につながってきます。
推薦コーチ:吉田典生(MBCCファウンダー、シニアコーチ、シニアトレーナー、MCC)
難易度:★★★★☆
どんな人におすすめ?
コーチングの本質と、MBCCが大事にしたいことについて関心のある方。コーチ側のパフォーマンスと化したコーチングへの疑問を感じている人に。
まとめ)コーチングの理解を深め、コーチングマインドを体現するために探訪する本の世界
コーチングを理解し、コーチとしての基盤と整えるために参考となる良書8冊をまとめてお届けいたしました。
今後、多様な観点からコーチングを学ぶのに有益な本をご紹介していく予定です。
MBCCファウンダー 吉田典生