Mindfulness Based Coach Camp 典生人語

ソーシャルキャピタルとしてのコーチング

吉田典生 投稿者:吉田典生 カテゴリー:典生人語

ソーシャルキャピタル(社会関係資本)とは

人々の協調行動が活発化することにより社会効率性を高めることができるという考え方のもとで、社会の信頼関係規範ネットワークといった社会組織の重要性を説く概念である。人間関係資本社交資本市民社会資本とも訳される。

ソーシャルキャピタルには様々な説明がされていますが、ウィキペディアには上記のように書いてあります。社会学、経営学、経済学など、多くの人文科学の領域に入ってくる考え方です。

そして今、コロナ禍において、人々の繋がりの大切さが問い直されています。孤独は人を苦しめるということは、主観的なイメージの話ではりません。

MiLIでもお世話になっている予防医学研究者の石川善樹さん(ハーバード大学公衆衛生大学院修了)のTED TALKで、質量ともに良好な人間関係が健康に大きく寄与する、という研究を軽妙な語り口で分かりやすく紹介しています。

この講演は数年前のものなので、「感染症が人々の健康を脅かした過去」と「慢性疾患や癌などが主な死因となっている21世紀」という対比がなされています。栄養不足や劣悪な衛生環境を克服した人間社会に、いま立ちはだかる最大の健康を脅かす要因。それは孤独であると。

ソーシャルキャピタルとしてのコーチング

コロナ禍を乗り越えた未来に向けて問うべき課題

翻って、新たな感染症が世界を覆う今。19世紀とは違い、少なくとも私たちの国では優れた衛生状態を、これでもかこれでもかと突き詰め、スマホで呼び出せば飛んできてくれるウーバーイーツによって、いくらでも栄養を摂ることができます。

しかしそれでも、この感染症に覆われる世界の恐怖と憂鬱、不安の中身って何だろう。経済的な苦しみによる自殺の増加も危惧されているけど、それは単にお金の問題なのだろうか。

巣ごもり世界で清潔と栄養を維持する私たちは、それと引き換えに繋がり欠乏症に陥っているのかもしれません。24時間、オンラインで繋がっていられる時代の人と人の本当の繋がりとは。私たちが望んでいる繋がりとは。

これは、コロナ禍を乗り越えた未来に向けて問うべき課題でもあります。

苦しみを分かち合える関係、愚痴をこぼせる相手、耳の痛いことを相手のために言える間柄。いつも相手のことを思うことが当たり前であるような繋がり。

みんながそれぞれ自分で自分を何とかしていくために、おそらく繋がりというものが必要なのだと思います。

自分のことは自分でやる。一人のほうがいい。そう言う人もいるかもしれないけど、それは主観の話であって、実際どう生きているか、どうすれば生きていけるかを客体化してみたら、そんなことは言えないでしょう。

「自律」と「繋がり」が有機的に分かちがたいものであるのは、自然界、生態系のシステムをみれば明らかです。

マインドフルコーチングが空気のように溶け込んでいる社会

一人ひとりの生命力と、それを出現させる関係性に満ち溢れた社会。

それを実現させるためのレバレッジとして、マインドフルコーチングを拡散させていきたいと私たちは考えています。

そしてマインドフルコーチングが(そう呼ぶまでもなく)空気のように溶け込んでいる社会。そんな未来を描きながら、MBCCVUCA WORLDの海を渡っていきます。

 MBCC ファウンダー 吉田典生